7/27(木)28(金)「ジカギキvol.3 in サイボク」

7 / 27 (木) 28 (金)で、学びの体験ツアー「ジカギキvol. 3 in サイボク」を開催しました!
第 3 回目のジカギキ 1 日目は、2007 年に埼玉県知事から「渋沢栄一賞(※)」を受賞したサイボク。食と健康の「ミートピア」を目指して、唯一無二の豚のテーマパークを作り上げました。
創業者である笹﨑龍雄氏は第二次世界大戦後、敗戦した日本を「食」で復興させようと養豚場を始め、第一次産業から二次、三次産業までをひとつに連結する事業を興します。「種」という遺伝子を守り、豚の飼料からこだわって、豚のことを知り尽くして作られたハム・ソーセージやウインナーは世界から認められ、数々の賞を受賞しました。
そして「食」に限らず、健康を追求し「療養泉」のお墨付きがつくほどの高品質な天然温泉を掘り当てます。さらに、昨今では子育てや家族の健康のことを思う女性たちの具体的な発想を活かして「サイボクの森」というアスレチックを完成させました。そんなサイボクの現会長である笹﨑静雄氏の豚や会社に対する熱い想いや考え方、苦労話、葛藤などを聴きました!
翌日は 1500 年の歴史を持つ川越氷川神社、素材の力を生かした醤油を作り続ける笛木醤油の工場見学を行いました。
※渋沢栄一賞とは
多くの企業の設立や育成に携わる一方で、福祉や教育などの社会事業にも尽力した渋沢栄一の生き方や功績を顕彰するとともに、今日の企業家のあるべき姿を示すため、渋沢栄一の精神を今に受け継ぐ全国の企業経営者に渋沢栄一賞をお贈りしています
概要
日程:2023/7/27(木)28(金)
場所:株式会社 サイボク
タイムスケジュール:
<7/27(木)>
11:30~ サイボク園内 (施設紹介)
12:00~ レストラン サイボクで昼食(BBQ)
13:00~ サイボク園内 (散策)
15:00~ サイボク 笹﨑静雄会長の講話
17:00~ 温泉館「天然温泉 花鳥風月」 (入浴)
18:00~ 懇親会
<7/28(金)>
10:30~ 川越氷川神社 (座学・見学)
12:40~ 金笛しょうゆパーク (見学・昼食)

株式会社サイボクの見学と講話
(1)サイボクの散策とBBQ
年間400万人が来場する「豚のテーマパーク」と呼ばれる緑豊かなサイボク園内を散策。その後、 6次産業化を実現した「世界最高の味(ゴールデンポーク)」を堪能しました。
(2)サイボク 笹﨑静雄会長の講話
約20名の深谷市を中心とした経営者や次代を担う方々が集い笹﨑静雄会長の貴重なお話を伺いました。
ーー経営とは何か
経営の『経』とは縦糸のこと。「何を縦糸(軸)にして経営をしていくのか」が重要です。仕事のノウハウは横糸を表しており、それを重視してはいけません。
ーー宿命と運命
「宿命」とは選べません。親は子を選べないし、子も親を選べません。
「運命」とは変えることができます。「命」を運び、動かすものです。
ーー汗をかいて儲けるということ
最近では「汗をかいて儲ける」ということが失われています。楽をして生きることはできません。それでは100年も続きません。「タイパ」、「コスパ」でできることとそうでないことを仕分けることが必要です。
ーー時流に乗るものは時流によって滅ぶ
昔、様々なお肉屋さんで修行をしている時に「時流に乗るものは時流によって滅ぶ」という言葉を知り、目からウロコが落ちました。時流ばかり気にして商売をしていてはいけません。時流はすぐ色褪せるので、絶えず変化をし続けなければならないということに気づきました。
ーーサイボクの軸
中国には約350種の豚がいると言われています。地域によって異なる遺伝子を持った豚がその地で生きています。サイボクはただ肉を作っているのではなく、「種という遺伝子から美味しい肉ができる」という前提で始まったことを忘れず、これからも「種豚」を大切に育てていきます。
ーー薬と食は同じ源
中国では「❝薬❞と❝食❞は同じ源から来ている」の意味を持つ「薬食同源」という言葉があります。昔は病院もなければ医学も進歩していないので、日々の食事や生活の中から健康を守るという発想から生まれました。毎日食べる食事は将来の体をつくり、重要ということです!
ーー人に良いと書いて「食」
高い安いではなく、自分にとって何が必要なのかを見極める必要があります。原料の肉からこだわったからこそ、添加物の少ない素材の味を生かした美味しいハム・ソーセージやウインナーが作れるのです!「人に良い豚肉を作る」という縦糸を守るためには自ら作るしかありません。
ーー感動する心、気づく心
仕事が忙しいとどんな花が道端に咲いているのか、芽吹いているのかには気づきません。開花する前の蕾からずっと見続けた時に、初めて命の営みは凄いと思うものです。感動する心を失うと良いところだけを摘む世界になってしまい、資源がない日本は人(心)を育てないといけないと考えます。
ーーひとづくり
自分でやった方が明らかに早いが、永久には続きません。できる人財をどこまで育てることができるかが重要です。最後は「ひとづくり」にたどり着きます。
ーー辛い時に励ましてくれた「易経」
20、30代の時から「易経(※)」を読んでいるが若い時は理解ができず、やっと今になってわかるようになりました。
※易経とは 今から3100年前に書き記され、2500年前に孔子が整理してまとめた東洋最古の書であり、リーダーのあるべき姿が書かれている。そのリーダーの象徴として「龍」が用いられる
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ステージ1:潜龍(せんりゅう)<学生時代~新人>
実力を蓄えるための勉強期間。若い時は勉強をした方が良い!
社長の役割は人財をどう育てるかという意識で社員を見て、一人ひとりの個性に合わせて話をし育てていくのが重要。
スタージ2:見龍(けんりゅう)<主任、係長、課長>
基本を学ぶ時。繰り返すことで見えてくることがあり、量をこなさないと見えない世界がある。
苦労をプラスに変えないといけないと目覚める時が来る。基本を学ぶから型ができ、型ができるから型破りができる!
ステージ3:乾乾(けんけん)<部長>
仕事が面白くなり、夢中で仕事に没頭する時。
何が大事かということを振り返り反省する時間、あすの準備をする時間を10~15分ほど作ると良い。学んだ形を自分の技にするのが重要。
ステージ4:躍龍(やくりゅう)<重役>
次のステージに行くための挑戦と兆しを観る力をつける時。責任を持って行動し、成し遂げる人間力と力量をつける。
様々な誘惑の中で「志」が揺らぐ時もあるが、メンテナンスを怠らず謙虚な心を忘れずに行動をすべし!
ステージ5:飛龍(ひりゅう)
思う存分に「志」を実現できる立場のこと。
ここで言うリーダー、龍とは「雲を呼び恵みの雨を降らせ、万物を養なう能力と使命を与えられている人」のこと。この雲とは会社で言うと、家族、従業員、取引先、お客様、協力会社などあらゆる支援をしてくれる人々のことを指す。自分が偉いと勘違いして驕り高ぶるようになると、素晴らしい人から離れていくので気をつけないといけない!
ステージ6:亢龍(こうりゅう)
社長でいながら驕り高ぶるようになると晩節を汚す。次世代に「志」を継ぎ、引き際を見極める必要がある。
サイボクの場合、コロナ禍ではあったが息子が38歳の時に引き継ぎました。社長に相応しいと思って継いだわけではなく、沢山のことを味わいながら成長していくものと思っているので若い方が良いと考えるからです。現実に起こっていることを理解して考えられるような人になれば良いと思っています!
どこのステージに自分がいるのか、そしてそのステージで何をしないといけないのかを考えてください。こういう夢があるから次はこうしたい!と自分を磨き続けることが重要です。
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<講話を聴いて>
いかがでしたか?
他にも笹﨑静雄会長はお父様(笹﨑龍雄氏)から受け継いだ思いや戦後の自身の生い立ち、断念した夢や葛藤した時のことなど、ここでは記せない話を沢山していただいました。質疑応答の時には話すことを悩まれる場面もありましたが、人を惹きつける話ばかりでその場にいないと聴けない話や感じることのできない空気感を感じました。

(3)川越氷川神社の講話
縁結びの神様で有名な川越氷川神社は、今から約1500年前、古墳時代の欽明天皇二年に創建されたと伝えられています。その宮司に「見えないものの力」について伺いました。
ーー事業継承
大学生の時に父が急逝し、大学に通いながらこの神社を継ぐことになりました。
ーー「風」とは
昔は「風の便り」というように、風が情報や人の思いを運んでくれると言われていました。例えば遠距離恋愛で愛しい恋人が住んでいる方向から風が吹くと「今、あの人は自分のことを思ってくれている」、反対に恋人が住んでいる方向に風が吹くと「自分の思いを届けてくれる」と考えられていました。
もう一つ、「神風」という言葉があります。戦争をイメージする人もいるが、昔の人は風が吹くと神様が出現したと考え、目に見えない風は神秘そのものと崇めていました。
ーー風鈴と風車
目に見えないものは我々にとっては神、仏、ご先祖さまそのものなので、それを耳に聞かせくれるのが「風鈴」、目に見せてくれるのが「風車」として境内に飾っています。目に見えない力を考えるきっかけとなり、神社として何を伝えたいかを常に活動の中心においています。
ーー「宝(たから)」とは
以前、長瀞の宝登山神社の宮司に「宝」の意味を教わりました。
「宝(たから)」とは「田からなるもの」=「稲」のことだと教わった。日本人は昔から稲を実らせるために汗水垂らして農業に励んできました。
「雷」は「田の上に雨が降る」と書き、「稲妻」は「稲の結婚相手(妻)」と称され、雷が鳴り稲妻が走ると稲を実らすと考えられてきました。昔から日本人は目に見えないものや自然を大事にし、目に見えない力が私たちの生活を支えてくれているのです。
ーー「神社」という場所
神社とは「静かな場所」と言う人が大勢いますが、私は朝・夕の静けさと日中の賑やかさのコントラストだと思っています。神社は常に静かではなく、朝夕はピーンと澄み切った静けさと空気に包まれます。そして昼間は多くの方が訪れて賑わいます。昔の神社は地域のコミュニティの中心でした。
ーー神社とお寺
「神社」はお祭りなど現代の地域の横のつながりを紡ぐもので、「お寺」はお墓など昔からのご先祖さまとの縦のつながりを紡ぐものです。神社とお寺は共存して今を紡いでいるのです。
ーー神社の現実
全国の神社はほとんどが兼業であり、平日は事業、土日は奉仕で運営をしている。神社8万社に対し、宮司1万人しかいません。多いところでは90神社を担当する宮司もいます。敷地内に結婚式や保育園・幼稚園を造り、収益モデルを立ち上げていかねばなりません。
ーー永遠のテーマ
日本の伝統のあり方として「守ること」が一番大事ですが、常に挑戦し生まれ変わりながらも本質は変えないところにあります。「何を繋ぎ、守り、変えるのか」を考え続けていきます。
<講話を聴いて>
普段聴くことのできない宮司の講話はとても神秘的でした。見えないものを大切にし表現しようとしている様が印象的で、陽射しの強い暑い日でしたが、神社を通る「風」が見えたようでした。そして神社も経営をし存続し続けなければいけない中での決断は一般企業の私たちに近いものを感じました。

(4)笛木醤油株式会社 金笛しょうゆ楽校(工場)見学
今でも使用している建物の中で一番古い、140年前のものを見学しました。本来の昔ながらの素材の力を活かした醤油づくりを守り、美味しさを代々受け継ぐ笛木醤油。醤油業界の課題や変化について伺いました。
ーー守り続ける製法
建物の中には深さ2メートルの桶が全部で38本あります。部屋やもろみの温度は管理せず、昔ながらの自然に発酵熟成する「天然醸造」を守り続けています。最近は大量生産やコスト削減のため、ステンレス製の桶に仕込んで外から温めて発酵を早める製造が多く、そこでは完成まで半年もかかりません。しかし私たちの製法は自然の状態で作るので2年はかかってしまいます。だからこそ味や香りがとても芳醇で美味しいものが出来上がります!
ーー醤油業界の課題
醤油業界の課題として絞り粕の処理があります。一部は飼料に変えているが、ほぼ産業廃棄物として廃棄しているのでかなりのコストがかかっているのが現状です。塩分濃度が8~10%もあり、菌が生きているので雑菌が繁殖しやすく、食料には向いていません。この課題が解決できれば醤油業界の負担が減ると考えています。
ーー現代の変化
日本の食生活は和食から洋食へ変化をして、醤油の消費が減り、80%の蔵が廃業したと言われています。また温暖化が進むと発酵が進むので、混ぜる頻度ややり方を今までと変えなければならないので、職人の経験や勘に頼るところもまだまだあります。昔ながらの製造を守り、次世代に繋げるためにも後継者や技術の伝授はとても大事なことです。
<見学を終えて>
海外からも人気の日本食。体に良くて美味しい日本食を支える調味料のひとつである「醤油」は手間と時間をかけて造られていることに驚きました。しかし現代は洋食が広まり醤油業界も縮小し、美味しいものを造るにも課題があることを学び、日本の伝統食を守り伝え続けることの大切さも実感しました。

編集後記
今回も経営者の方の講話を直接聴き、実際に作っている現場や現物を見て、五感で感じることで深く学ぶことができました。それぞれが経験してそこから学んで、次代に伝えたいことや大切にしたい想いから私たちも感じ、学んだことはそれぞれあったと思います。今回の講話から学んだことを自社に持ち帰り、社員に伝え、これからの会社の方向やあり方のヒントになれば幸いです。

ジカギキとは?
学ぶ意欲の高い若旦那衆の皆さまと共に、渋沢栄一翁の精神を体現する企業への見学ツアーのこと。
学びの体験ツアーを直接、現場で現物を体験しながら、現実を学び、語り合う中で深める機会にしたく、まさに直に聞き合い、語り合うので「ジカギキ」と命名しました!

